え、店員の誕生日には親代りとなって祝ってやる。
 給料はなるべく多くするが、小遣いは少なく、そして貯金を強制的にさせ、また一方食事をよくし、住居も清潔にして、身心を浄めて真面目な生活をさせるように導くことが、私の店員教育の骨子である。

    商売の独立性とは何か

 世の中の商売を見ると実に千種万様、数限りなく沢山あるが、さてその中から何商売を選んで将来自分は世に立って行こうかということになると、私に言わせれば、まずその商売自体が現在の時世に適合していて、儲かるというよりも、その商売を社会が要求していて永続性があるかどうかと言うことが商売選択標準にならねばならぬと思う。永続性があるかどうか、ということは言葉を換えて言えば、その商売に独立性があるかどうかと言う問題に帰着する。独立性とは説明するまでもなく他に依りかからず自分の独立でやって行けることである。そういうとあるいは反駁《はんばく》する人があるかも知れぬ「今日の商売で他に依存せずにやって行ける商売があるか、皆他人様の力によって行けるではないか」と、なるほどいちおうはもっともな理屈である。しかし、私に言わせれば、等しく他に依存する
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