な筈はないといって頑張るので、試食比較してみると、なるほどかわっていない。そこでいろいろ原因を調べて見たが分らない。ところがうちの羊羹の方が虎屋のものより形が甚だ小さいために、外観が貧弱に見えて如何にも味までが劣っているように見られたのであるということがわかった。そこで今までより形を三倍大きくしたところが非常に評判がよくなった。これは一例であるが、私は頑固のようだが、いろいろの人の意見を努めて聴くことにしている。悪いと思えばすぐ改める。昔からのしきたりなどにこだわってはいない。以前の話だが、店の者が近くへ引越した某邸へ御用聞きに行った。ところがそのお邸ではとりつけの店があるからというので、てんで[#「てんで」に傍点]中村屋など眼中にないという風で、剣もホロロの挨拶だった。店員はくやしがって帰って来たが、それから四五日するとそのお邸から電話で菓子の注文があった。不思議に思いながら行ってみると、そこの奥様が出てこられ、先日の非礼を詫びられて、これからひいき[#「ひいき」に傍点]にしてくれるとの話であった。よくわけを聞いてみると、そのお邸では、最近よそから貰うおつきあい物の菓子がほとんど中村
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