流品として仕入れられ、それが一流品として客に渡されすなわちお客を欺瞞する結果となる。そうなると店の信用にかかわり、売れ行きが悪くなる。お店は素人故に何もわからないなどと思うと天罰|覿面《てきめん》、必ずその影響があらわれるものである。
私は毎月一回市内外の同業者並びに百貨店の調査をしている。そして最も勉強する店の商品の品質と目方と自店のものとを比較対照して、どこのどんな小さい店でも、自分のところのものよりいいものを安く売っているとすれば、飽くまで研究して行く。
また春秋二季には、京都、大阪、神戸方面から北海道方面に調査に出かける。朝鮮方面まで出かけたこともある。そして他より優れていると自信が出来るまで努力する。
かくして私の努力と研究は、みなこれをお客様に万遍なく奉仕しているつもりである。全生命を打込んだ奉仕の結晶が私をして今日あらしめたものであり、それはまた同時に私の商業道である。
能率の平均
営業能率をあげるに最も重要なことは、人一人の能率をあげることである。能率をあげるには毎日の能率を平均して発揮せしむることが一番よい。ある日は目が回るように忙しく、ある日には
前へ
次へ
全330ページ中20ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング