あればこの考えはすっかり改めなければならない。私の店では、店員はすべて紳士として扱っている。そうでなければ決して伸びるものではない。監視つきでいては番頭としてまかせられるものではないし、独立しても店主になる資格はつかないのである。
入店と同時におよそ人格的に人物養成の方針でやっている。そうすると、ただ忠実というだけでなしに愛店心も非常なものであり、少しでも店のために能率をあげようとしてかかるから、現在ではほとんど店員にまかせ切りの状態で、店主の私は毎日ちょっと報告を聞きにゆくくらいのもので――どんどん成績があがっているのである。結局人間の心掛け如何ということになるが、例えば日本菓子部の職人にしても、他所ならばせいぜい一日一人二十円平均位の製造高と聞いているが、店のは一日平均四十円以上である。さりとて、就業時間が長いというのではない。およそ十時間である。労働時間が十三四時間であろうが、店主の眼を盗んで、いたずらにむだ話をして本気で働く気でないのでは、決して能率は上るものではない。
大勢の店員達の内であるから、入店の時ずいぶん慎重な考査をしたつもりであっても、時に心掛けの悪い店員が居な
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