ある。しかしその者自身としてはそれ以上はるかに重大な問題であり、何をもっても救うことの出来ぬ大きな悩みである。そしていったん発見されたとなっては一生の浮沈にもかかわるのであるから、その場合主人として実に責任の重大さを痛感させられる。
 店としてはその店員を退店させれば、一時的の損害ですむことではあるが、前途有望な男一人を活かすか殺すかの鍵を握らされている主人は、これを簡単に処置することなどとうてい出来ない。やはりこれは自分の子供が同じ罪を犯したのと同様に考えて、あくまでも懇切に訓戒し、更生を誓わせるように努力せねばならない。しかしそうして見てもまた彼が同じことをする場合、あるいは病い膏盲《こうもう》[#「膏盲」はママ]に入っていて反省の見込なしと見られた場合は、もはや致し方なく、断固として退店を命ずべきである。そしてこの強硬手段が、あるいは彼を更生せしむるやも知れないのである。
 しかし店主も大いに反省する必要があるし商売というものが、彼等正直にして純情な少年の眼にひどく易々と金の儲かるものに見えはしなかったか、ごまかしに見えはしなかったか。もしも店主が整理を急ぐ等のために不良な品を客
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