にすすめるとか、価の知られていない物に対して高い値段をつけて儲けるとか、そういうことをしているとでもすれば、その場合店員を不幸罪に陥れたものはその店主自身であるとしなければなるまい。まして世間に往々あるように無理な経費節減として、あまり粗食で少年を我慢させ、乏しい思いをさせるなどということがあったとすれば、店員の罪はむしろ店主が負わねばならぬものであろう。
店主が公明正大な商売をして居れば、そういう不心得な店員を出すことも少ないのであって、もしも店員に罪を犯すものがあれば、如何なる事情にもせよ、店主は己れの不徳の致すところとして深く反省し、店員のみを責めるような処置は決してとってはならないのである。
店員の独立の約束はできぬ
私の店には二百十九人の店員が居るが、これらの貴重な青春を捧げて快く主家のために尽してくれる店員にどうして酬いたらよいか、将来の保証をどうしたらよいかということは、我々店主として大いに考えなければならない問題である。
御承知の通り時勢も昔とはだいぶ違って来た。例えば交通機関の発達という一つを取上げてみるにしても、ここ新宿に店を持っていて、電話一本で
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