分慎重な態度をもって臨み、第一条件として家庭の質実純良なものから採るようにしている。そして高等小学卒業という全く清新な時に、その父母の手から直接に彼らを受取り、社会の悪感化より免れしめるように心掛けているのであるが、無論ごく稀にではあるが、少年店員の中に盗癖という悪癖を持っているものあるを見出すことがある。何という嘆かわしいことであるか、私はその都度その少年が盗みをするに到った原因を、出来るだけ彼の過去に遡り、また周囲の事情に照らして、即断を避けて慎重に調査して見るのであるが、たいていやはりその生れた家庭の欠陥に基くものであることが発見される。
 しかも驚いたことには、その家庭というものが、人に真理を説き、善義を教える宗教家や教育者であったりして、どうしてこういう家からそんな不心得な者が出るのかと、実に意外に感じるのであるが、これはどうもそれらの父兄の表向き説くところと日常の行いが相反するのを幼児から見せつけられるのと、一つにはそういう家庭が社会から酬われるところあまりに薄く、経済的に窮乏しているためではないであろうか。
 とにかく店員の悪癖は、主人にとりまた店にとって甚だ迷惑なことで
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