段利益をあげている筈はない。安くしたのは小さくしたからである。こんなことをしては信用を落すばかりである。
 私の体験から一つ二つお話したが商売の細かいところを突込んで話せばいろいろの材料はあるが、要は研究である。不景気といい、不況というが、弱き小さきものも充分生きる途がある。今日の如く優勢なる百貨店がかえって研究に熱心で、ほとんど三日おきに私の店の商品の値段を調べにやって来るというふうなのに、一般小売人が手を束ねて居ってはとうてい更生の道はないであろう。

    従業員の無差別待遇

 私の店には現在二百十九名の従業員がおります。その中には、半島人はいうまでもなく、極く少数ではありますが支那人、ロシヤ人、ギリシヤ人などといった国籍の異なった人々がいます。だがこれ等の人々に対する待遇は、食事はもちろん、寄宿舎の居室、寝具もことごとく同一で、さらにこの無差別待遇は職長と弟子の場合においてももちろん変りはありません。そうして私自身も日に一回だけは必ずこれらの店員諸君と共に食事をとることにしています。
 店員の誕生日には店員一同と共に祝います。当日は「何々君の誕生日」であることを特に掲示し中
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