を収め得るのみで、実質的には、商店自らもまた顧客一般も、決して左程の利便、利益を受くるものではない。平素が売出しでなければならぬ。製造能率の全力発揮、商売繁閑の平均を求め、能う限りの経費節約を期して、最良品を最廉価で売捌くことが、私共の店にとって一番大切なのである。そこで私は大売出しに就いて、従来一度も計画したり、また実行した例はないけれど、日常絶えず売上げ高の平均増大に就いて考慮をめぐらして来た。

    大売出しは一種の注射

 大売出しは一種の注射的商売繁栄策である。時たまにはいいかも知れぬが、あまり継続するようになると、却ってその効果を減殺するものである。平素に製造全能率、販売全能率を挙げつつあるならば、決してそこに大売出しを企てるべき余力が生じて来ぬ。またそれを強いて企てるべき必要もない。一ヶ年を通じて、平均的に売上げを増すように努めるのが、商店経営の根本問題であって、一時的に、変態的に、パッとした不景気に乗じた売上げ増進策は私共では採らぬところである。大売出しを行わないで、また大売出しを必要としないで、それで一日一日の全能力を発揮し、商売の繁閑平均を求め、製造原価と営業経
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