るからである。それだから各家庭が経済的に目覚めて来ると、この御用きき制度が漸次廃るものと見なければならぬ。諸君もこれは自然に廃るものと覚悟して、それぞれ適応した改革法を考えて見る必要があると思う。
[#地から5字上げ](産業講習会における講演)

    大売出しについて

 開店後かなり年月を経過したが、特別のある期間を限り、特別のある試みを行い、それで、世俗の所謂「大売出し」をやったことは一度もない。私の店では一ヶ年を通じて、毎日毎日が大売出しである。少なくともそうした意気込みをもって営業をつづけている。従って経営主任者として私の常に考究すべき問題は如何にして製造全能率の発揮を図り、如何にして商売の繁閑を調整しようかという一事である。
 大売出しの計画はもとより結構であろう。だが、それは販売品の種類によりけりで、私の店のように、日々の消費を予想し、日々の愛用を目的とし、しかもその製品の総てが新しきを尊び、美味なるを貴しとする製菓、製パン商にあっては、一定期間内における一時的売上げ増進策を図り、他店のそれに見様見真似した大売出しを行うことは出来ない。よし出来たとしても、多少宣伝的効果
前へ 次へ
全330ページ中141ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング