八十銭、缶代の二十銭と加えて定価一円也で売出してみますと、たちまち進物用としての価値を発揮して、今日ではすこぶる好評で、京都、大阪辺の旅館等から五十缶、百缶という大量注文があるばかりでなく、満州、支那までも進出するに至りました。僅かに紙袋を缶詰に改めただけのことで、かくも売行きに相違が出来るものであります。
 森永さんがキャラメルで年額一千万円の売上げをみて居りますのも、五銭十銭、というあの軽便なケースを考え出したところに、今日の大をなす原因があったのであります。
 また佐賀の小城のようかんは古くから赤道線を越えて、遠く海外に輸出されることで有名であります。しかし遺憾ながら砂糖量が多過ぎるため、味も風味も失われて居ります。私はここにヒントを得まして、味も変らず風味も失わずに赤道線を突破し得るような工夫をしてみたいと思いまして、缶詰ようかんを作り、また昨年から、さらに水ようかんの缶詰を作りましたところ、在外同胞の間に意外な好評を博し、今日では既に世界の隅々まで進出するに至りました。せんだって南洋から来たお客さんに、あちらで内地気分を味わわれたと感謝され、大いに面目を施した次第であります。
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