めることは出来ないのであります。
 また郷里信州の林檎でも同様の経験を致しました。およそ十一、二年前、郷里の知人から良い林檎が出来るから、東京の市場に出して貰いたいという希望を添えて、林檎を一箱送られました。これがまたペルー式で、上部の二十四箇程は実に美事でありましたが、下は上中下様々で到底都会に出し得る商品価値がありませんので、私が提言して青森から技師を招き、林檎の栽培法を改良すると同時に、その販売法をも改めさせることに致しました。その結果、ここ数年来は信州林檎の声価が大いに上り、本年の如き信州林檎四十斤入りが、青森産の四十八斤入りよりも高価に取引されるという情況であります。すなわちこれは商品の普及性についての改良の結果でありますが、これと同時に商品の整理方法、意匠、容器等のことについてもまた考慮を払わねばなりません。私の店の例を申し上げますと、中村屋のカリントーは商品そのものは評判がよろしいが、何分にも色が黒く体裁が悪く、しかも袋入りでありますから、美味しいにもかかわらず進物用にならなかったのであります。そこで工夫の結果、美術的の意匠を施した缶入を作りました。これに中味三斤を入れて
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