菓子店では昔は品物を竹の皮か経木に包んでお客に渡したものであります。当時のお客さんはだいたいにおいて近所近辺でありましたので、これでも充分間に合ったものでありますが、今日の如く汽車や飛行機で交通する世の中となっては、もはや竹の皮のお客ではなく、内地はもちろん、外国までがお客筋となった訳でありますから、そこにまた一つの工夫が必要となる訳であります。文明国だ、未開国だと申されますが、一面商品に対するこの工夫の有無によって区別されると申して差支えなかろうと思います。
 先頃、私の所へ南米ペルー国から来客がありまして、同国産の桃の缶詰を土産にくれました。早速口を開けてみますと実に美事なもので、味もまた申し分なく、今日世界一の称ある北米産の桃に較べて、かえって立ち勝るくらいでありました。これを北米産に代えて利用したならば、甚だ面白かろうと内心楽しみにして、その次の桃を引き出してみて驚きました。色は悪く、形もまた貧弱で、最初の姿はどこにもありません。一缶中十箇十色という有様で、商品価値は全くゼロでありました。これに反して北米産は実によく均一されて居りまして、幾缶開けてみましてもほとんど優劣の差を認
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