原料で作られた晒飴は、古来の餅米製の飴に比較して、約五割の安値で、かつ見た目にはかえって美しいところから、餅米製の水飴はほとんど市場から駆逐されてしまいました。
元来水飴が子供、産婦、病人等に愛好されたのは、餅米から製造されて滋養があったからであります。しかるに今日の晒飴は、害になる亜硫酸を含んで居るものも少なくないのであります。私の店では二十年ほど前から水飴の販売は中止して居りました。それは昔からの伝統で一流の菓子店では、水飴を売らないことをもって一種の誇りとしていたからであります。しかるに今日の如く、真に滋養豊富な餅米からの水飴が、東京市内においても容易に手に入れ難い状態をみましては、伝統などにこだわるべきでないと考えまして、この水飴を販売する事に致しました。その結果は売れ行きも意外によろしく、今日では一かどの商品となって居る訳であります。
これは私の経験の一つを申し上げたにすぎないのでありますが、学術の応用は御客に対しては親切となり、また店の繁栄の原因ともなるのでありますから、将来ともにこの方面の研究はますます必要になるものと信じて居ります。
商品普及性の研究
前へ
次へ
全330ページ中119ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング