る大百貨店といえども敢えて恐るるに足らずと断言してはばからないのであります。
 ところが百貨店を攻撃したり、その欠点を指摘したりする人々の販売する商品が、百貨店に較べて品質が劣っていたり、または価格が高かったりしたのでは、お客の百貨店に集まるのは当然でありまして、その結果、自分の店が衰微したからといっても、百貨店を怨むべきではなく、自分自身をこそ憾むべきではなかろうかと思うのであります。
 それでは正札主義の最大条件である、良品を安価に提供するには如何にすべきか、これを自分が今日まで実行してまいりました経験について申し上げてみましょう。
 ひとり商売に限らず、事業の経営でも、一国の政治でも、結局は人間がするのでありますから、勝れた人物を多く集めて快よく働かせるのでなければうまく行くものではありません。商売上良品を廉価に提供するためにも、この点がきわめて重要でありますから、適切なる人事を行うということが第一に必要な事であります。

    人事

 もし主人が適切なる人事を行うことが出来なければ、使用人にたちまち不平が起り、盗みをするとか、なまけるとか、いろいろの不正の事が続出して、とう
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