るし、また我が家は外国人の出入りも多く年中雑然としているから、こういう所なら同志を匿《かく》まえるかも知れないという考えを、自ずと中村氏に洩らしたものであった。
 万策尽きた際とて、これが中村氏から同志の人々に伝えられ、あらためて頭山先生からお話があって、ボース、グプタの二氏を私に託されることとなった。
 その晩大きな黒い男二人は、退去の挨拶にまわった頭山邸から闇にまぎれて姿を消してしまった。警視庁の狼狽は一通りでなく、たちまち上を下への騒動で、大がかりな捜索をしたが、どうしても両人の行方は判らない。英国大使よりは、有名な日本の警視庁ともあるものが、色の異った大男二人を帝都の真ん中から取り逃して、行方が判らないなどとは奇怪至極だ、これは日本政府の八百長に違いないといって、毎日幾回となく外務省へ詰問的照会をする。その折衝に当った外務省の木村鋭市氏は、後に私に会った時『君のために三、四年の寿命を縮めた』と言われたが、私としてもあの厳しい捜索の中でよく匿し了せたと思い、氏の述懐をきくにつけてまたさらに感慨を深うした次第である。
 こうしてボース氏を匿まうこと四ヶ月半、その間に英国はますます猜
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