、気骨ある志士は猛然とこれを論難した。とりわけ頭山満翁を頭目として犬養毅、寺尾亨、内田良平、佃信夫、中村弼、杉山茂丸等数十名の同志は我が国の独立的体面を守らんがために政府に抗し、自ら躬《み》をもって両志士の生命を保護しようと盟《ちか》い、そこに必死の猛運動が起されたことはいうまでもない。しかし当局は英国政府の手前、退去命令を撤回することが出来ない。そのうちに一週間の期限も迫って第六日目となり、十二月一日、今や同志の生命は風前のともしびとなった。
 我ら夫婦もこれを日々の新聞紙上で承知して、志士の身の上が気の毒であり、また国家としても独探などとは口実と知りつつ他国の強要に従わねばならぬとは、何という残念なことであろうと考え、同志者の骨折りも水泡に帰して、彼ら二人もいよいよ明日は死地に赴くのかと感慨に耽る中にも、まだまだ最後ではない、何とか急に道が開けるかもしれないという気がしていた。すると偶然そこへ中村弼氏が買物に見えた。私はすぐに、どうなりましたかと訊ねた。氏は憮然として『絶望』だという答であった。私はその時どういうふうに言ったかおぼえていないが、家の裏に美術家たちのいた画室が空いてい
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