れにいたしましても、時おり、三味線とり上げ、常磐津『両面月姿絵』なぞ、おさらいいたしますとき、
※[#歌記号、1−3−28]奈良坂やさゆり姫百合にりん咲き
と、思わず唄いすぎましては――もし、わたくしを、このさゆりにでもたとえていただけば、あの姫百合にも見まほしい、いま一人の私、お千代さまは、いまは、どうしていられることやら、と、かようなことを、つい思い浮べては、三味ひく手をしばし止め、あらぬ方をじっとみつめるのでございます。
[#地付き](一九三六年十二月号)
底本:「「ぷろふいる」傑作選 幻の探偵雑誌1」ミステリー文学資料館・編、光文社文庫、光文社
2000(平成12)年3月20日初版1刷発行
初出:「ぷろふいる」
1936(昭和11)年12月号
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:網迫、土屋隆
校正:noriko saito
2006年2月21日作成
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