りあげました。
「ならん、ならん。神さまにまかせてしまえ。」
 そのとたん、おもての戸に、ドンと、はげしくぶつかる音がしたので、青ひげはおもわず、ぎょっとして手をとめました。とたんに、戸があいたとおもうと、すぐ騎兵《きへい》がふたりはいって来て、いきなり、青ひげにむかって来ました。これは奥がたの兄弟《きょうだい》で、ひとりは竜騎兵《りゅうきへい》、ひとりは近衛騎兵《このえきへい》だということを、青ひげはすぐと知りました。そこで、あわてて逃げ出そうとしましたが、兄弟はもう、うしろから追いついて、青ひげが、くつぬぎの石に足をかけようとするところを、胴中《どうなか》をひとつきつきさして、ころしてしまいました。
 でもそのときには、もう奥がたも気が遠くなって、死んだようになっていましたから、とても立ちあがって、兄弟《きょうだい》たちを迎《むか》える気力《きりょく》はありませんでした。
 さて、青ひげには、あとつぎの子がありませんでしたから、その財産《ざいさん》はのこらず、奥がたのものになりました。奥がたはそれを、ねえさまやにいさまたちに分けてあげました。

 ものめずらしがり、それはいつでも心
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