はない。ひつじのむれですよ。」
「こら、おりてこないか、きさま。」と、青ひげはさけびました。
「今すぐに。」と、奥がたはいいました。そうして、そのあとで、「アンヌねえさま、アンヌねえさま、まだ、だあれもこなくって。」
「ああ、ふたり馬に乗った人がやってくるわ。けれど、まだずいぶん遠いのよ。」
「ああ、ありがたい。」と、奥がたは、うれしそうにいいました。「それこそ、にいさまたちですよ。わたし、にいさまたちに、いそいでくるように合図《あいず》しましょう。」
そのとき、青ひげは、家ごとふるえるほどの大ごえでどなりました。奥がたは、しおしお、下へおりて行きました。涙をいっぱい目にためて、かみの毛を肩にたらして、夫《おっと》の足もとにつっぷしました。
「今さらどうなるものか。」と、青ひげはあざわらいました。「はやく死ね。」
こういって、片手に、奥がたのかみの毛をつかみながら、片手で、剣《けん》をふりあげて、首をはねようとしました。おくがたは、夫のほうをふりむいて、今にもたえ入りそうな目つきで、ほんのしばらく、身づくろいするあいだ、待ってくださいと、たのみました。
青ひげはこういって、剣をふ
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