折角の仕事もそれで壊れるのですから、何でも構わないから沢山集めるがいいということで、種々雑多なものを掻き集めて、そうして二百人以上集めることが出来ました。
自体、浪人という言葉と、浪士という言葉とが違っている通りに、これは同じではないのであります。浪人と申せば失業者・失職者のことでありまして、百姓でも町人でも、それに構いはないのでありますが、浪士と申すと、扶持離れの侍でなければならない。ただぶらぶらしているものということではない。この差別は、幕末においては、ほとんど滅茶苦茶になっておりまして、誰でも構わず刀をさして、浪人ともいえば浪士ともいうありさまであったのです。清河が集めた浪士と申したところが、やはり浪士・浪人の区別はないので、百姓もあれば神主もあり、博奕打《ばくちうち》もある。小泥坊さえあったのであります。従来刀をさしていなかった者どもが、この募集に応じて、はじめて刀をさすというものも大分ありました。清河八郎はその発頭人でありましたが、その人も武士ではなくって、奥州の百姓の子でありました。ですから藩というような足溜りもなく、殿様という背景もないので、志を当世にほしいままにしよう
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