大菩薩峠芝居話
――話上手の話――
平山蘆江

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「蚌のつくり」、第3水準1−14−6]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)長い/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 帝劇に上演された大菩薩峠、あれは芝居ではない、仕方話の手見世だ、芝居として見るのなら、行友李風氏の脚色で澤田正二郎君がやつた方が遙かに大菩薩峠の悌を出し、且机龍之助の姿を見せてくれている。
 七幕十四場、ずつと通して見て筋が通る通らないという人もあるようだが、それはいう方が間違つている。大菩薩峠という長い/\もの語りの中の要所々々を、草双紙の口繪でも見せるように並べて見せて、小説でおなじみの人物を、それ/″\姿で見せて行く趣向だという事を、ちやんとはじめから唄つてあるのだ、口繪を見ただけで筋を知ろうという人が無理だ。それにあの小説で筋ばかりを見る人があつたら恐らく作者中里介山君は苦笑い
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