出して、骨を折ってもらいたくなるんだ』
『そんな事をして、あなたは面白がっていらっしゃる。わたしを色々な危い所へ連れ込むのが面白いんでしょう、きっと!』
『でもまあ、何事も神様の思召《おぼしめし》でございましょう……仕方がございません。……でわたしは、どんな仕事をするのですか?』
『まず第一に、俺を隠匿《かくま》っておく事だ。この部屋の半分だけ俺に貸しておくれよ。俺は長椅子の上へ寝りゃたくさんだから、それからおれに必要なものを食わせてくれる事だ。それから今一つおれの云う通りに、おれと一緒に捜し物をするんだ』
『何を捜すんですか?』
『前に話した事のある貴重な品だ』
『何んですか、それは?』
『水晶の栓さ』
『水晶の栓!……まあ!妙なものを!もし見付からなかったら……』
ルパンは静かに彼女の腕を握って、真面目な調子で、
『それが見付からないと大変な事になる。そら知っているだろう、お前も可愛がっていたあのジルベールの首が無くなるんだ、ボーシュレーと一緒に……』
『ボーシュレーなんぞは構いませんよ、どうなったって……あんな悪党は……だが可哀想にジルベールが……』
『乳母《ばあや》は今日の夕
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