に厳重に監視されておるか、一ツ大いに取調べる必要があるぞ』
ルパンが、早速秘密探偵局について取調べさせた処によると、
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「アレキシス・ドーブレク[#「ドーブレク」は底本では「トーブレク」]。一昨々年ブーシュ・ドュ・ローヌ県選出代議士、無所属、政見は明瞭ならざるも、常に巨額の金員を散じて選挙民の好感を買い、地盤すこぶる強固なり。別に財産無し。しかれども巴里《パリー》本邸の外《ほか》アンジアン及びニイスに別荘を有し、はなはだ贅沢なる生活を為せるも、その財源をいずこに求むるや不明。元来政界に特殊関係、または党派的勢力なきにもかかわらず、政府に対して絶大の勢力を有し、その要求の貫徹せざるものなし」
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『こりゃ職業調査だ』とルパンは報告書を読み返しながら云った。『俺の要求するのは素行調査だ。秘密調査だ。本人の内的生活に関する報告だ。これがあれば暗中模索の俺の活動もまた非常に楽になるし、ドーブレク[#「ドーブレク」は底本では「ドーブレグ」]に関係合《かかわりあ》って無駄骨を折るか折らぬかの見当がつくんだ!……フーム、こうしておる内にも時は経つ……』
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