羅巴に參りました序に一寸支那に參りました。歸りにも一ヶ月ばかり支那に滯在して居りましたが、歸途に支那に參りました時には南清の方から來ました或支那人の話を直接に聽いたのではありませぬですが、其人に話を聞いた人から聽きますと、此の革命以來南清地方と申しましたが決して南清地方に限りませんが、南清は此の革命の元でありますから殊に左樣であるか知れませんが大變に社會上の變化がある。例へば離婚のやうな事があります。支那に離婚と云ふことは是まで非常に少ないのでありました。ところが其の離婚と云ふやうなことは此頃非常に起つて居る。夫から先年から新聞紙上にも見ることでありますが自由結婚と云ふ、自由と云ふことを穿き違へたか知れないが、是までの習慣に據らずに、親の命令に從はずに結婚する。其中には色々野合と云ふやうな事もありませうけれども、また正式の自由結婚と云ふものもあります。之を名づけて一名文明結婚と申します。文明とは餘程オカシナ熟字であります。
 それから商賣上に於きましても御承知の通り支那人は此の商賣人間の信義道徳と云ふものは隨分固く守つて居りましたが、商賣人間の信義道徳と云ふやうなものも革命以來非常に崩
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