て其他の姦淫については何等の刑罰がない。又其説明に姦淫は社會國家の害を引起すと雖、社會國家の故を以て科するに重刑を以てするは、刑法の理論に於て未だ協はず。例せば法律を以て泥飮及び惰眠を制限すべからざるが如し云々とある。刑法已に和姦を寛宥して罰せずんば禮教又防範する能はざるに至らん。又多くの犯罪は徒刑又は罰金に處することになつて居れども、かくては貲に饒かなるものは法を輕んずるに至るべく、貨財を重んじて禮儀を輕んずるの風を生ぜん。是決して我彝倫攸敍の中國に行ふべき法にあらずと論じて居る。かゝる反對論が矢釜敷かつたから、折角出來た新刑法も再び修正を加ふることゝなり、遂に宣統元年正月を以て「惟是刑法之源。本[#二]乎禮教[#一]。中外各國。禮教不[#レ]同。故刑法亦因[#レ]之而異。中國素重[#二]綱常[#一]。故於[#下]干[#二]犯名義[#一]之條[#上]。立法特爲[#二]嚴重[#一]。良以[#下]三綱五常。闡[#レ]自[#二]唐虞[#一]。聖帝明王。兢兢保守。實爲[#中]數千年相傳之國粹。立國之大本[#上]。(中略)但祗可[#下]採[#二]彼所[#一レ]長。益[#中]我所[#上レ]短。凡
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