三等或は四等の有期徒刑、或は壹千圓以下壹百圓以上の罰金に處すとあるが、其他帝室に關する犯罪でも、多く徒刑或ひは罰金若干と規定してある。即ち罪重く法輕き譯で、かくては君、臣の綱たる義と刺謬すること甚しい譯である。第二、舊法律では、父子の倫を重んじてある。故に祖父母父母を毆つたものは死に處することになつて居たが、新刑法では凡そ尊親屬を傷害し、因つて死或ひは篤疾に致すものと雖、必ずしも死刑に處せられず、是れまた父、子の綱たるの義に戻れり。第三、舊法律は夫婦の倫を重んじてある、故に妻夫を毆つときは杖に處し、夫妻を毆つときは折傷するに非ざれば罪を論ぜず。又妻夫を毆殺するときは斬に處すれども、夫妻に對し同一の罪を犯すときは絞に處す。而して條例中、婦人の犯罪は多く本人を罰せずして夫をして之に坐せしむ。是妻は夫に從ふものなれば、其責任を夫に負はしむるなり。然るに新刑法には妻妾夫を毆つの專條なく、之を普通人の例に等しくするは、夫、妻の綱たるの義に違へり。第四舊律では男女の別を重んじてある。然るに新刑法にては親屬の相姦、平人と別なく、又十二歳以下の男女に對し猥褻の行爲をなすものと、強姦に對する制裁のみあり
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