]戻[#二]乎我國歴世相沿之禮教民情[#一]。」云々と言つて居るけれども、この草案を憲政編査館から内外各衙門に※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]はし、其意見を徴した所が、種々な反對論が出た、而して尤辨難の鋒が強かつたのは學部であつた。學部の覆奏を見るとかうある。一體臣が部は教化を司どる所であるが、教化と刑律とは互ひに相因るものである。然るに新律を査べて見ると、我國の禮教と相反する所が甚多い。これは日本より招聘した起草委員の原文を其儘採用して漢文に飜譯した迄であるから、中國の情形に適合しない譯であるとて、不都合の點を指摘して居る。學部以外直隷、兩廣、安徽の督撫等の駁論も政治官報に掲載してあるが、一々述ぶるに及ばぬ、今唯學部所論の要點を擧ぐると、第一、中國舊法律では尤君臣の倫を重んじてある。故に謀反大逆等の大罪を犯すものは、首從を問はず凌遲の刑に處することになつて居たが、新刑法では政府を顛覆し、土地を僭竊し、或は國憲を紊亂するを目的とし暴動を起すものは、首魁は死刑又は無期徒刑に處すとある。即ちかゝる大罪でも必ずしも死刑と限つてない。又凡そ太廟宮殿等に侵入し、箭を射、彈を放つものは、
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