半は木偶の棒で※[#「けものへん+章」、第3水準1−87−80]々のような顔に鼠のような目がついており、厭なものであった。それでも彼女はそれが何であるかは判らないし、ただ面白くもあり五月蝿くもあった。悪戯に手を触れてみると、ただクルクル廻るばかりで、しかもその廻り方は速くなるばかりである。その藤は、泥と水にまみれて、地上をうねっているが、その様は煮湯をかけられた赤い蛇のようである。泥も、藤から嵐のように飛び濺いでは空中でオギアオギアと鳴く小さいものになり、あちらに爬《は》いこちらに爬い、地面一杯になった。
彼女はほとんど失神せんばかりになっていっそう激しく廻していたが、腰や腿が痛むばかりではなく、二つの臂の力もなえて来たので、知らず知らず身を縮め、頭を高い山にもたせ、緑したたる黒髪を山の頂に載せ、一息つくと、両眼を閉じた。紫藤は、彼女の手から落ち、それも疲れ果てたようにぐったりと地面に横わった。
二
ドウウ※[#感嘆符三つ、251−6]
この天地の崩れる音響で、女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]はハッと目を醒まし、東南の方へ一散に駆け出した。彼女は脚
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