うまんふそん》の態度を示していたが、これは実に不埒なことで、今度の犯法《はんぽう》についてもいくらか小気味好く思われた。彼等は何か議論を吐いてみようとしたが、議論の根拠がないので、やたらにがんがん騒いでいると、藪蚊は素っ裸の腕に突当たって烏臼木の下に飛び行き、そこに蚊の市をなした。そのうち彼等もぶらぶら歩き出しておのおのの家に帰った。七斤ねえさんもぶつぶつ言いながら皿小鉢やテーブルを片附け、家に入って門を閉めた。
 七斤は欠け碗を持って部屋に入り、閾の上に腰掛けて煙草を吸ってみた。何しろ非常な心配事で、吸い込むのを忘れていると、象牙の吸口から出た六尺あまりの斑竹の先きにある白銅の火皿の中の火の光が、だんだんと黒ずんで来た。彼は心の中で大変あぶなくなったと思ったが、どういう風にしていいのか、どんな計らいをしていいのか、非常にぼんやりして掴みどころがなかった。
「辮子はね、辮子だ。丈八の蛇矛。代々落ち目になるばかりだ。天子様はお匿れになる。壊れたお碗は町へ持ってって釘を打たせればいい。誰が抵抗することが出来るか。書物の上に一条々々書いてある。畜生!……」

 第二日の朝早く七斤はいつもの通
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