て跳ね上り、洞の中に潜り込んだ。親兎は洞門の口まで跟《つ》いて行って、前脚で子供の脊骨を押し、押し込んだ後、土を掻き起して穴を封じた。
それから小庭の内は急に賑やかになった。窓口でも時々人が覗いて見る。
そうして遂に小さいのも大きいのもまるで見えなくなった。その時毎日雨が降っていたので、三太太はまたあの黒猫の毒手を心配したが、わたしはそうでないと言った。気候が寒いから隠れているので、日があたればきっと出て来ます。
日が出たが、彼等は出て来ない。そのうち衆は彼等のことなど忘れてしまった。
ひとり三太太はいつもそこへ行ってほうれん草をやっていたから、いつもそこへ行《ゆ》くと想い出した。ある時彼女は窓裏の小庭に入ってみると、壁の隅に別の一つの穴を発見した。それからまた元の穴へ行ってみると、爪痕が薄《うっす》らと幾つも見えている。この爪痕は大兎のものとしては余りに大きい。彼女はあのいつも塀の上にいる大きな猫に疑いを掛けずにはいられなかった。彼女はすぐに発掘の決心をして、鋤《すき》を持出してどしどし掘り下げた。大抵駄目らしいがもしかひょっとすると小兎が出て来ないとも限らない。ところが穴の
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