たしは彼に鳥をつかまえてくれと頼んだ。
「それは出来ません。大雪が降ればいいのですがね。わたしどもの沙地《すなぢ》の上に雪が降ると、わたしは雪を掻き出して小さな一つの空地を作り、短い棒で大きな箕《み》を支え、小米を撒きちらしておきます。小鳥が食いに来た時、わたしは遠くの方で棒の上に縛ってある縄を引くと、小鳥は箕の下へ入ってしまいます。何でも皆ありますよ。稲鶏《いねどり》、角鶏《つのどり》、※[#「孛+鳥」、105−11]鴣《のばと》、藍背《あいせ》……」
 そこでわたしは雪の降るのを待ちかねた。閏土はまた左《さ》のような話をした。
「今は寒くていけませんが、夏になったらわたしの処へ被入《いら》っしゃい。わたしどもは昼間海辺に貝殻取に行きます。赤いのや青いのや、鬼が見て恐れるのや、観音様の手もあります。晩にはお父さんと一緒に西瓜の見張りに行きますから、あなたも被入《いら》っしゃい」
「泥棒の見張をするのかえ」
「いいえ、旅の人が喉が渇いて一つぐらい取って食べても、家《うち》の方では泥棒の数に入れません。見張が要るのは※[#「權」の「木」に代えて「豸」、第4水準2−89−10]猪《いのしし
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