と思う。こないだ小作人が減租を要求した時、あなたが出来ないと撥ねつけたように」
最初彼はただ冷笑するのみであったが、まもなく眼が気味悪く光って来て、彼等の秘密を説き破った頃には顔じゅうが真青になった。表門の外には大勢の人が立っていて、趙貴翁と彼の犬もその中に交って皆恐る恐る近寄って来た。ある者は顔を見られぬように頬かぶりをしていたようでもあった。ある者はやはりいつもの青面《あおづら》で出歯《でっぱ》を抑えて笑っていた。わたしは彼等が皆一つ仲間の食人種であることを知っているが、彼等の考《かんがえ》が皆一様でないことも知っている。その一種は昔からの仕来りで人を食っても構わないと思っている者で、他の一種は人を食ってはいけないと知りながら、やはり食いたいと思っている者である。彼等は他人に説破されることを恐れているのでわたしの話を聞くとますます腹を立て口を尖らせて冷笑している。
この時アニキはたちまち兇相を現わし、大喝一声した。
「皆出て行け、気狂《きちがい》を見て何が面白い」
同時にわたしは彼等の巧妙な手段を悟った。彼等は改心しないばかりか、すでに用心深く手配して気狂という名をわたしにか
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