を誘わなかったのは奇ッ怪千万である。阿Qは一歩|退《しりぞ》いて考えた。
「彼等が、今まで知らずにいるはずはない。阿Qは已に革命党に投じているのじゃないか」

        第八章 革命を許さず

 未荘の人心は日々に安静になり、噂に拠れば革命党は城内に入ったが、何も格別変ったことがない。知県《ちけん》様はやっぱり元の位置にいて何か名目が変っただけだ。挙人老爺は何になったか――これ等の名目は未荘の人には皆わからなかった。――お上が兵隊を連れて来ることは、これも前からいつもあることで、格別不思議なことでもないが、ただ一つ恐ろしいのは、ほかに幾らか不良分子が交《まじ》っていて内部の擾乱《じょうらん》を計っていることだ。そうして二言目には手を動かして辮子を剪《き》った。聴けば隣村の通い船を出す七斤は途中で引掴まって、人間らしくないような体裁にされてしまったが、それさえ大した恐怖の数に入らない。未荘の人は本来城内に行《ゆ》くことは少いのに、たまたま行《ゆ》く用事があっても差控えてしまうから、この危険にぶつかる者も少い。阿Qも城内に行って友達に逢いたいと思っていたが、この話を聞くとやめなければ
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