《あま》り物を求めて燭台を借りて火を移し、自分の小部屋へ持って行ってひとり寝た。彼は言い知れぬ新しみと元気があった。蝋燭の火は元宵《げんしょう》(正月)の晩のようにパチパチと撥《は》ね迸《ほとばし》ったが、彼の思想も火のように撥ね迸った。
「謀反? 面白いな……来たぞ来たぞ。一陣の白鉢巻、白兜、革命党は皆ダンビラをひっさげて鋼鉄の鞭、爆弾、大砲、菱[#「菱」は底本では「萎」]形に尖った両刃の劒《けん》、鎖鎌。土穀祠《おいなりさま》の前を通り過ぎて『阿Q、一緒に来い』と叫んだ。そこで乃公は一緒に行《ゆ》く、この時未荘の村烏《むらがらす》、一群の男女こそは、いかにも気の毒千万だぜ。『阿Q、命だけはどうぞお赦《ゆる》し下さいまし』誰が赦してやるもんか。まず第一に死ぬべき奴は小Dと趙太爺だ。その外秀才もある。偽毛唐もある。……残る奴ばらは何本ある? 王《ワン》なんて奴は残してやるべき筋合の者だが、まあどうでもいいや……」
「品物は……すぐに入り込んで箱を開けるんだ。元宝《げんほう》、銀貨、[#「、」は底本では空白]モスリンの著物……秀才婦人の寝台をまずこの廟《おみや》の中へ移して、そのほか錢家
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