え》以上のものを決して取らんところの一個の人間を論ずるのじゃ。だからこの種の宗教族であるところの野蛮な生きた論理の研究でありますぞ。[#「。」は底本では欠落]
グレンジール家を諷して歌った。『生木にゃ青い血、オージルビーにゃ金の血』という名高い鄙歌《ひか》はあれは修辞的の意味ばかりでなく文字通りの意味があるのじゃ。すなわち、グレンジール家は単に富を集めたばかりでは無く文字通りに黄金を集めたものでじゃ」
「彼等は黄金製の装飾品や器具を山のように集めたんじゃ。彼等は実にけちん棒でその果は狂人のようになったんじゃ。わし等が城内で発見した、あらゆるものをこの事実に照らしてみる事が出来るんじゃ。それはダイヤモンドの指輪があっても金の指輪がない。
「※[#「鼻+(嗅−口)」、第4水準2−94−73]煙草はあれども、金の煙草入がない。散歩杖はあるけど金の頭飾りがない。ぜんまいや歯車はあるが金側《きんがわ》時計がない。そしてこれは全く気狂いのような話しじゃが、あの古い弥撤《みさ》書にある基督《キリスト》像の後光や神の御名《おんな》でさえも、やはりあれが純金であったものじゃによってこれもまた抜き取られ
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