、その裏に、ある秘密な標徴を持っている、十字架のついている鎖があるという事が記されています。それは最も初期な教会の神秘から来ています。そしてセント・ペーターがローマに来る前アンテオクにおいて彼の大僧正の職についた事を表徴するように考えられます。とにかく、私はこのようなのが他にもう一つあると信じます。そしてそれは私のものです。私はそれの呪《のろい》についてのある話しを聞いています[#「います」は底本では「まゐす」]、が私はそれは気にかけていません。がしかし呪いがあってもなくても、真にある意味においてある陰謀があります。けれどもその陰謀はただ一人の男から成立ってるのです」
「一人の男から?」と師父ブラウンはほとんど機械的にくりかえした。
「私の知ってる限りでは、一人の狂人《きちがい》からです」スメエル教授は言った。「それは長い物語です。そしてある意味において馬鹿気《ばかげ》た事なのです」
彼は卓子《テーブル》掛の上に指でなおも建築学の図の様な模様をつけながら、再び吐息をして、それから話しを続けた。
「たぶん私はそれについての事の始めからあなたにお話しする方がいいと思います、事実においてあ
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