な方法において彼の推定はかなり正しくあったよ。彼の他の推定のようにな」
「誰れの推察ですか? 誰れが正しかったのですか?」と焦慮の不意な熱心を以て夫人が叫んだ。「あなたが話しておられるのは誰れの事なのですか? あなたの『彼』やそして『彼を』にむずむずさせられずに、私達はやり通せませんか?」
「わしは殺人者について話してますのじゃ」と師父ブラウンが言った。
「何んな殺人者ですか?」彼女は鋭く訊ねた。「あなたはあのお気の毒な教授は殺されたとおっしゃるのですか?」
「左様」ターラントは彼の髯の中でがさつに言った、「吾々は『殺害された』という事は出来んですよ、なぜなら吾々は彼の人が殺されたのを知りませんからな」
「人殺しは他の誰かを殺したのですぞ、それはスメール教授ではないのじゃ」と坊さんはまじめ気に言った。
「まあなぜ、他に誰れを殺しましたか?」と他の者が言った。
「彼はダルハムの牧師である、尊敬すべきジョン・ウォルター氏を殺ろしたのじゃ」とブラウンは気むずかし気に言った。「彼はそれ等の二人を殺ろしたかったのじゃ、なぜなら彼等二人ともある珍らしい型の聖宝を持っておったからじゃ。殺人者はその点
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