詩人ではあるが、少しは名の知れた新聞記者で、レオナルド・スミスと呼ばれていた。彼は長い顔をして、明るい髪を持って、キチンと装っていた。もう一人は黒い海象《かいぞう》のような髭を生やして、丈《せい》が低く幅が広いので、滑稽な対照であった。そして他の者がおしゃべりであるのに彼は無口であった。六番目の最もつまらない人物はブラウンという名で通っている小柄な英国の坊さんであった。彼は非常に注意深くその会話に聞き入っていた。そしてその瞬間にそれについて一つのかなり奇妙な事実があったという印象を形《かた》ち造っていた。
「君のそのビザンティン研究は」とレオナルド・スミスは話していた。「ブライトンの近くの、南海岸《なんかいがん》のどこかで発見した墓穴《はかあな》の話しに、ある光を投ずるにちがいないと私は考えますが、そうじゃありませんか? もちろん、ブライトンはビザンティンからはたいぶはなれております。がしかし僕はビザンティンであるように想像されている埋葬やミイラにする型等について読んだ事がありますよ」
「ビザンティン研究は確かになかなか難かしいに違いないですな」と教授は率気《そっけ》なく答えた。「世間
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