サレーダイン公爵の罪業
THE SINS OF PRINCE SARADINE
チェスタートン Chesterton
直木三十五訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)撓舟《かいぶね》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)|蘆の家《リードハウス》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+云」、第3水準1−14−87]
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        一

 フランボーがウェストミンスターにある彼の探偵事務所の仕事を一月休んだ時に、彼は撓舟《かいぶね》のように小さい、一艘の小型の帆艇《ヨット》に乗って旅に出た。東部諸州の小さい川を通った時、それはあまりに小さいので、ちょうど魔法船が陸の牧場《ぼくじょう》や麦畑の中を帆走《はし》って行くように見えた。舟は二人乗として快適なものであった。そして必要品を置くに足るだけの場所のみで、フランボーはそこに自分の哲学から割出して必要と考えた品々を蓄えていた。それ等は四つの主要部分に分類することが出来た――食
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