た。
『結構々々。これなら世界の果まで送っても大丈夫だ、ハッハハハ』とルパンは笑った。

[#8字下げ][#中見出し]※[#始め二重括弧、1−2−54]七※[#終わり二重括弧、1−2−55]人道のために[#中見出し終わり]

 かくてトランク入のドーブレクは部下二人の手で自動車に乗せて巴里《パリー》へ運搬した。ルパンはクラリスの名でプラスビイユ宛に、
[#3字下げ]「尋ネ人発見セリ。明朝十一時例ノ文書ヲ渡ス」。
 と至急電報を発しておいて直ちに急行で巴里へ向け出発した。ルパンは夢中になるくらい喜んでいた。彼が果しなき旅を続けていたにもかかわらず、突如ここに姿を現わしたのは、
『奇蹟ですね。サン・レモからゼノアに向け出発しようとした時、ふと、妙な気がし出して、汽車を飛び降りようとしたのでしたが、二人に止められたのです。で汽車の窓から首を出して何心なく過ぎ行くプラットフォームを見ると、伝言をしに来た駅夫の奴、両手をこすって、意味ありげな笑を洩している。ジッと見ているとハッと気が付いた。偽駅夫! 失敗《しま》ったドーブレクにやられていたと思うと今までの径路が万事了解したのです。解ったと思った
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