ーヌ・ルパンはもはやこの紙片《かみきれ》を奪い去っていた。少年は決心した。エイギュイユの秘密が仏蘭西《フランス》の国にある以上、どうしても探し出さなければならない。大尉の手によって火の中から拾い出されたもう一冊の本も探し出そう!
大尉の子孫
ボートルレはそれから一生懸命、その大尉の子孫を探し始めた。
ある日マッシバン博士からボートルレ少年に手紙が来た。それによるとヴェリンヌという男爵が、大尉の子孫であることが分ったから、私と一緒にその男爵を訪ねてみようという手紙であった。しかしあとで博士は、用があるから一緒に行けないが、その男爵の家で逢おうということになった。
少年はそのヴェリンヌ男爵の邸に出掛けた。余り事件がすらすらと運ぶので、もしやマッシバン博士というのはルパンの計略で、自分は恐ろしい敵の計略に掛るのではないかとも思われた。けれども少年は勇気を振《ふる》って出掛けた。
博士はもう来ていた。ヴェリンヌ男爵も機嫌よく逢ってくれた。そして例のエイギュイユの秘密を書いた本もあるそうである。ボートルレは余りの嬉しさにせき込んで尋ねた。
「その本はどこにござ
前へ
次へ
全125ページ中92ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ルブラン モーリス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング