ルパン夫人。」
三人目のを見ると少年はあ!と驚いて飛び上った。驚いたのも無理はない。その名前は、
「イジドール・ボートルレ君!」
意外、意外、現われたその人は
その時、さっとカーテンが開かれた。
「やあ、こんにちはボートルレ君、たいへん遅いじゃないか。お昼に一緒に御飯を食べようと思って待っていたんだよ。おや、君はなぜ僕ばかり見ているんだよ。」
ルパンとの闘いの間にはもう幾度となく驚かされているので、いよいよ最後にはどんなことが起るかと覚悟はしていたものの、これはまた意外にも意外、余りに思い掛けないことである。
少年の眼の前に現われた人、その人は他ならぬバルメラ男爵ではないか。バルメラ男爵!かのクリューズ県のエイギュイユ城の持主《もちぬし》であったバルメラ男爵!、少年が父を救い出すために力を貸してもらったバルメラ男爵!、その城へルパンを捕えに警察の者を案内したバルメラ男爵!
「あなたが……あなたが……じゃああなたなんですか!」とボートルレはおろおろ声。
「そうさ、今度こそ本物のアルセーヌ・ルパン、どうぞよく見てくれたまえ。」
「では、あの令嬢は?」
「
前へ
次へ
全125ページ中111ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ルブラン モーリス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング