年は暗号の紙切を出した。それには左の端《はじ》に点のある三角形が書いてある。扉を調べると、三角形の鉄の小板《こいた》が四隅にある。そしてその板には大きな釘が打ちつけてある。左の端《はじ》の小板の釘を動かしてみたが、それは違うのか、扉は開かない。少年は数字の44というのに気づいた。自分たちが今立っているのは四十五段目である。少年は探偵に注意して一段後戻りさせて、また前のように三角形の小板の釘を動かした。
果して重い鉄の扉はぎーと開いた。洞穴《ほらあな》の中に一筋の明《あか》りが差し込んでいる。それは巌の裂目《さけめ》で、そこへ近づいてみると、傍《かたわら》につっ立っている奇巌城が見える。ガニマールは指《ゆびさ》していった。
「ほら!ずっと沖の向うに黒い物が見えるだろう。あれが水雷艇だ。あれがあるんだもの、ルパンの奴逃げ出したが最後、海へ沈み込まれてしまうのさ。」
意外の招待
次にまた階段があった。三百五十八段であった。そこにも鉄の扉があって三角形の鉄板が四隅にあった。それは前の方法で難なく開いた。次はたいそう長いトンネルである。天井に吊《つ》るされたランプ
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