た。
「もしいたら、海からボートに乗って逃げるでしょう。」とボートルレはいった。
「こっちだって十二三艘の漁船を雇って、それに一人ずつ部下を乗り込ませておいて捕まえるさ。」
「ルパンのことだから、その漁船の間だってついと逃げてしまうかもしれません。」
「その時は大砲で沈めてしまうばかりだ。」
「大砲を用意するんですか。」
「そう、水雷艇《すいらいてい》が私の電報一本で、すぐ応援に来てくれることになっている。」
水雷艇
次の日になった。二人は約束の時間に逢った。二人とも平気な風を装おっていたが、顔色は真蒼であった。
まわりにたくさんの警官を見張りさせ、海には十二艘の漁船が待ち受けた。ガニマールとボートルレは十人ばかりの部下を引き連れて、どやどやと洞穴《ほらあな》に入った。ボートルレは例の十字を押した。するとがたっと音がしてこの前のように開いた。
懐中電灯で照《てら》してみると、中に階段が現われた。ボートルレがその階段を降りながら数えると、四十五段あった。
「畜生!」と先へ進んでいったガニマールが叫んで立ち止まった。一枚の頑丈な扉があって先へ行かれない。少
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