うことにした。
衣服は、そまつなものでいいから、たくさんに用意させて、いつも、いちばんわるいものを着るようにさせた。
寝具には、とくべつに注意して、全員毛布を用いることにした。これは、ふつう、ふとんを用いている漁船としては、めずらしいことで、衛生上の大改善であったのだ。
この航海の目的は、漁業調査である。漁具の用意に力をいれたことは、いうまでもない。
ふかつり道具と、ふかの油をしぼる道具を取りそろえた。ふかのつり針、つり糸、えさは、じっさいに研究しなければならないので、日本の沿岸で使うもの、小笠原島方面で使うもの、外国で使うものを、ひきくらべて研究するため、各国のものを集めた。
海がめをとらえる道具も、小笠原島方面と、南洋原住民の使うものとを用意し、また、かめの油をしぼる釜《かま》もそなえた。
鯨をとってやろうと、大きなまっこう鯨をめあてにして、捕鯨用具を一とおりそろえた。鯨を見つけたら、伝馬船《てんません》と漁船で、鯨に突進して、銛《もり》、手槍《てやり》、爆裂弾《ばくれつだん》をつけた銛を、鯨にうちこんで、鯨と白兵戦をやって、しとめるのである。
船長の私は、鯨とりの
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