|浮環《うきわ》に、細い長い索《つな》をつけて流してみると、岩の方へ流れる潮と波とに送られて、すぐに岩に流れついた。
岩の上の二人は、浮環をひろった。これで、岩と船との間に、細長い索がはられた。
船では、すぐに、マニラ麻《あさ》でできた太い索を、この細い索にむすんで、ずんずんのばして、岩の上でたぐってもらった。
こうしてこんどは、船と岩との間に、じょうぶな、マニラ索がつながった。そして、マニラ索のはしを、しっかりと岩にしばりつけてもらうと、船では、たるんでいる索を、えんさ、えんさ、と引っぱり、索をぴんとはって、しっかりと船に止めた。
この太いマニラ索を、索の道――索道《さくどう》にしようとするのである。これが、岩にあがるための、命のつなになるのだ。
つぎには、この索道に、一本のじょうぶな索をまわして、輪をつくった。これに、
人がぶらさがるのだ。そしてこの輪に、別の長い索のまんなかをむすびつけて、その一方のはしを、岩の上に送った。そして他のはしは、船に止めておいた。
岩と船との間には、こうして、二本の索が渡された。一本は、両方のはしが、しっかりしばってある索道で、もう一本は
前へ
次へ
全212ページ中60ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
須川 邦彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング