組員も、そう思ったにちがいない。だれも、ひとこともいわない。ずぶぬれになって、青い顔をしていた。
このまま、龍睡丸は、伝馬船と同じ運命になって、ここで死ぬのか。みんなは、おどりくるう白波を見つめて、だまっていた。
一秒、二秒、三秒。
「おっ」
「あっ」
「やっ」
とつぜん、二、三人が、おどろきの声をたてた。岩の方を指さし、口をもぐもぐさせている者もある。見れば、向こうの波の上に、一、二メートル頭を出している、ひらたい岩のねもとに、伝馬船が底を上にして流れついているではないか。
やっ。黒い頭が二つ、白い波のなかにうきだした。
しめたっ。二人は、岩の上へ、はいあがって行く。
ごうごうと鳴りひびく波の音で、どんな大声でも、百メートルもはなれていては、聞えはしないが、手まねと身ぶりで、二人ともぶじだ、伝馬船も大じょうぶだ、と、知らせているではないか。
「ばんざあい」
思わずほとばしる、よろこびのさけび。
「ああ、よかった――」
みんなは、ほっとして、顔を見合わせた。
波の上の綱渡り
これで、伝馬船《てんません》では、上陸できないことがわかった。
そこで、まるい救命
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