をしていた水夫長が、天幕《テント》に飛びこんできた。
「船長。たいへんな流木《りゅうぼく》です」
浜に、たくさんの材木が、流れついたというのだ。
「みんなを起せ」
私がいうと、水夫長は、大声でどなった。
「総員、流木をひろえ」
「それ」
一同は、飛び起きて、浜べに走った。なるほど、いちめんの流木だ。大小の丸太、角材、板、空樽《あきだる》などが、夜のまに流れついていた。これは、われらの龍睡丸《りゅうすいまる》が、くだけて、ばらばらになって、乗りあげた暗礁《あんしょう》から、流されてきたのだ。みんな、かなしい、なつかしい気もちになって、小さな板きれまで、すっかりひろいあつめた。
なかに、太い円材が、二本あった。龍睡丸の帆桁《ほげた》である。これはいいものが流れついたと、一同はよろこんだ。これと、三角|筏《いかだ》の一骨にした円材と、三本の長い円材を、すぐ砂山に運んで、砂山のうえに、見はりやぐらを立てる作業をはじめた。
大きな円材など、重たい長いものを、船では、ふだん取りあつかっているが、それには大きな滑車や、太いながい索《つな》や、いろいろの道具を使って動かすのである。いまわれわ
前へ
次へ
全212ページ中103ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
須川 邦彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング