れは、そんな道具を何ももっていない。しかし、運転士と水夫長とは、この方面にかけては、それこそ、日本一のうでまえがあるのだ。いろいろと工夫して、三日がかりで、りっぱな三本足のやぐらを、砂山の頂上に立てた。
 まず、砂の上に、三本の円材を立て、そのてっぺんを三本いっしょに、しっかりと、じょうぶな索でしばった。そして、その少し下に、横木をしばりつけ、この横木に、板と丸太を渡して、見はり番の立つところをつくった。のぼりおりの階段には、横木をしばりつけた。
 やぐらの高さ、四メートル半、砂山の高さと合わせて、海面上からは、十二メートル半である。この頂上に、昼夜、見はり番が立って、通る船は見のがすものかと、ぐるりと島を取りまく、半径七カイリ半の水平線を、一心こめて見はるのであった。

 さて、やぐらから、通りかかった船を見つけても、船の方では、無人島に、十六人が住まっているとは思うまい。そのまま行ってしまうにちがいない。そこで、船を見つけたら、信号をしなければならない。
 こういう場合に、
 ――ここに人がいる。助けてくれ――
 という信号は、煙をあげ、火を見せることで、この信号は、世界中、どこの
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